CURIOSITIES
教育普及プログラム(第2回メディアアート国際シンポジウム関連)
Photo by Ryohei Tomita
Workshop#1「Eye2Eye」
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Workshop#1「Eye2Eye」
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Workshop#2「コトバ身体」/ Kotoba Shintai (Language and Body)
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Workshop#2「コトバ身体」/ Kotoba Shintai (Language and Body)
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Workshop#3「“元気グルーブ”──身近なものからレコードプレーヤーを作ろう!」/ Genki Groove: Make a DIY Record Player
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ワークショップ#3「“元気グルーブ”──身近なものからレコードプレーヤーを作ろう!」/ Genki Groove: Make a DIY Record Player
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ワークショップ#4「“グリッチテープ”──音と映像を作り出すシンセサイザーを作ろう!」 / Glitchtape (v. 0.3): Glitch DIY Video Synthesizer
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ワークショップ#4「“グリッチテープ”──音と映像を作り出すシンセサイザーを作ろう!」/ Glitchtape (v. 0.3): Glitch DIY Video Synthesizer
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「社会」「身体」「メディアテクノロジー」 をテーマに、メディア社会における創造性を学ぶ小学校4年生以上を対象とした教育普及ワークショップを開催。
日本のメディアアートを牽引する山口情報芸術センター[YCAM]のほか、フィリピンのフェスティバル「WSK: Festival of the Recently Possible」、さらに第1回メディアアート国際シンポジウムで紹介したインドネシア、ジョグジャカルタを拠点とする「Lifepatch―citizen initiative in art, science and technology(アート、科学、テクノロジーの領域で活動する市民団体)」による、計四つのプログラムを実施。「社会」「身体」「メディアテクノロジー」 をテーマにメディア社会における創造性を学ぶワークショップが行われ、それぞれのセンターやコレクティブの専門性と地域性を踏まえ、テクノロジーを応用・理解するための方法が紹介された。
ワークショップ#1「Eye2Eye」
「見る」を見る? 知られざる視線の可能性。目の動きでコンピューターを操作する
人々の視線を可視化し共有する「EyeWriter」という視線入力技術を使ったワークショップ。「目くばせ」、「目は口ほどにものを言う」等、私たちは意識的に目を動かし視線で意思を伝えようとします。また、日常生活には視線を誘導する仕掛けがたくさん潜んでいます。しかし、どこまで視線だけでコミュニケーションが取れるでしょうか?また、一見同じものを見ていても、果たして本当に同じものを見ているのでしょうか? 実はそれぞれ違うところに注目しているかもしれません。本ワークショップでは、参加者の視線を可視化しながら様々なゲームを行い、視線やものの見方が日常どのように使われているのか、隣の友達がいま何を見ているのかを共有し、「視線」そして「見る」ことが持つ可能性を考えていきます。
ワークショップ#2「コトバ身体」
コトバで創るダンス―言葉とイメージのズレがつくる新しい動き
山口情報芸術センター[YCAM]で開発されたオリジナルのテクノロジーを使い、日常生活であまり意識しない「言葉」と「身体」の関係について発見するワークショップ。「ゾウ」ということばから、どのような動きを想像するでしょうか。腕を下に伸ばし左右に揺らした動きからどんな言葉を思いつくでしょうか。本ワークショップでは、言葉をもとに身体を動かし、動いている身体から言葉を考えていきます。また、身体の動きと言葉を組み合わせてコンピューターに登録し、「コトバ身体」のデータベースをつくり、そのデータ化された動きを組み合わせて、新しい振り付けをつくりだします。言葉と身体の動きを連関させることで生まれる、解釈のズレや共通点、奇妙さやおもしろさを参加者全員で見つける機会となります。
1982年生まれ。京都造形芸術大学芸術学部卒業後、岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー[IAMAS]に入学。建築の表面に映像やインタラクションを取り込んだ「メディア・ファサード」について研究するかたわら、建築設計事務所に勤務し、オフィスの内装や展覧会の会場設計などを手がける。2009年より現職。オリジナルワークショップの開発やファシリテーション、「コロガル公園シリーズ」の制作など、教育普及事業全般および地域資源の活用に関する研究開発プロジェクトの企画を担当。ボトムアップ的なコミュニティづくりの実現を探求する。
http://www.ycam.jp/

1987年生まれ。山口大学教育学部在学中に学校教育について学び、小学校教諭一種免許状・中学校教諭二種免許状(技術)を取得。2014年4月より現職。オリジナルワークショップのファシリテーションや「コロガル公園シリーズ」の制作を中心に教育普及事業全般を担当。山口市内のオルタナティブスペース「Maemachi Art Center(MAC)」の運営にも携わる一方、ワークショップでの体験をより多くの人々に拡げるために映像などの記録メディアを通じた体験も視野に入れたプログラムづくりを行う。
http://www.ycam.jp/

2003年に開館した、山口県山口市にあるメディアアートセンター。メディア・テクノロジーを用いた新しい表現の探求を軸に活動し、展覧会や公演、映画上映など、多彩なイベントを開催するとともに、人と「社会」「身体」「メディア・テクノロジー」との関わり方をテーマとして子ども向けワークショップを数多く開発。そのワークショップは「テクノロジー〈で〉学ぶ」、「テクノロジーから考える」といった実践的なアプローチを重視し、普段の生活に新たな視点をもたらし、それまでにない価値観を通して物事を捉える「想像力/創造力」の向上にもつながるよう設計されている。教育事業の目的のひとつに、複雑・多様な社会をサヴァイヴする「Thinker:考える人」の育成がある。
写真提供:山口情報芸術センター[YCAM]

ワークショップ#3「“元気グルーブ”──身近なものからレコードプレーヤーを作ろう!」
電気を使わずレコードを再生する、音を聞く原理を体験する。
身近なものを用いて、レコードを再生することで「音」の原理(=空気の振動)と録音・再生の仕組みを学ぶワークショップ。トーマス・エジソンが音楽を録音・再生できる蓄音機を完成してから今日まで、音を記録し、再生する様々なテクノロジーが誕生しています。現在では、スマートフォンをはじめとしたデジタル機器で、データを再生し、音楽を楽しむ機会も増えています。では、電気がないと音楽は聞けないのでしょうか? 今回のワークショップでは、段ボール、鉛筆・消しゴム・定規等の身近なものを使って、チームでレコードプレーヤーをつくり出し、音楽の再生に挑戦します。日常では体験することのない、音に関わる原理とテクノロジーを、フィリピンから来日する講師とともに解明していきます。
フィリピン大学で社会学の学位を取得。音・映像・詩といった多様な領域の文化活動に携わる。国内外の文化プロジェクトのプロデューサーなどを担う一方、新しい領域と創造的な産業を広げるための研究/執筆活動も行う。2017年には「WSK: Festival of the Recently Possible」と国際交流基金アジアセンターとの協働プロジェクト「WSK AXIS」の共同ディレクターを務めた。18年よりフィリピン遺産憲章の研究と、台湾とフランスが協働で実施する女性のためのマルチメディアパフォーマンスのためのプラットフォーム「HERESY」の創設に携わる。

「WSK」(ワサック)は、エレクトニック・アート、デジタル・アートなどをあつかうフィリピンで最初の、そして唯一無二の国際芸術祭。2009年より「Fetedela WSK」としてスタートし、2013年に「WSK」に改称。この芸術祭では、デジタルカルチャーやデジタルパフォーマンスの流れを軸に、領域横断的なさまざまな活動を展開。フィリピンのほか東南アジアの国々を中心に国際的な交流に力を注いでいる。
https://www.wsk.io/

ワークショップ#4「“グリッチテープ”──音と映像を作り出すシンセサイザーを作ろう!」
音と映像を操るオリジナルの装置をDIYで組み立てる。
アート、科学、テクノロジーの領域で活動するインドネシア・ジョグジャカルタを拠点とするLifepatchのメンバーが講師となり、音と映像を操作するオリジナルの装置をつくるワークショップ。コンピューターを使わずに、モニターをひとつの楽器(=シンセサイザー)へと生まれ変わらせるこの装置は、アーティストやミュージシャンのために開発されたものです。本ワークショップでは、はんだ付け、小型コンピューターの組み立て、プログラミングを含む電子工作の基本~応用を実践的に学びながら、装置を組み立て、映像・音声信号を操作し、みんなで演奏を試みます。DIYによるモノづくりと、ハードウェアハッキングの手法、メディアアートの創造性を、インドネシアから来日するアーティストとともに体験することができます。
インドネシア・ジョグジャカルタを拠点に活動するアーティスト兼エンジニア。大学在学中にコンピュータ科学を独学で習得し、音響・映像制作のためのプログラミングやDIY電子機器の開発、音響彫刻、インスタレーション、楽器の制作なども手がける。2004年よりオルタナティブな教育やDIY・DIWOによるクリエイティブ活動を行うコミュニティを組織し、インスタレーション作品の発表やワークショップ、様々なイベントを開催。アート、科学、テクノロジーの領域で横断的な活動を行なう組織Lifepatchの共同創設者。14年にはジョグジャカルタにてHackteriaLabの共同ディレクターを務めた。
https://andreassiagian.wordpress.com/

農業バイオテクノロジー分野の研究者で、現在は東京農工大学大学院生物生産科学専攻に在籍。先端的な研究を行う傍ら、自分でもなぜ作ったかわからないような様々な装置を趣味のように作ったりもしている。最近は、茨城県稲敷郡阿見町に在住し、DIYで取り組む生物学と、汎用・低コストな実験装置の開発を行う。さらに、茨城大学で、温室管理のためのオープンプラットフォームのユビキタス環境制御システム(UECS-Pi)の導入に取り組みつつ、東京農工大学大学院でトマト苗の熱ショック誘導抵抗性の分子メカニズムを研究中。

インドネシア・ジョグジャカルタでアート、科学、テクノロジーの領域で横断的な活動を行う組織。2012年に結成して以来、地域社会におけるテクノロジー、天然資源、人的資源の調査・研究・開発に取り組んでいる。同時に、ジャカルタ・ビエンナーレやジョグジャカルタ・ビエンナーレをはじめとするアートフェスティバルにおいてインスタレーション作品を多数発表。とりわけ地域と協働する活動においては、多様性の実現と、クリエイティビティの活性化を図るため、その環境づくりを重点的に行っている。
